June 12, 2024
中町と日和山公園とのちょうど中間あたりに位置する船場町。その名の通り、飛島行きの定期船の発着所があり、町には北前船舟運で栄えた豪商の屋敷が残るなど「港町・酒田」の趣が感じられる地域です。近年では遊歩道や、バスケットボールやスケートボードなどを楽しめる施設のある「船場町緑地」が整備され、海風を感じられるまち歩きスポットしても注目を集めています。
今回訪れたのは、そんな船場町の家坂亭敷地内にある「喫茶ケルン」。
1959 年、サントリー主催のカクテルコンクールでグランプリに輝いたオリジナル・カクテル「雪国」が有名な、言わずと知れた酒田の老舗喫茶店です。
かつて中町にあった店舗は建物や設備の老朽化のため閉店を余儀なくされましたが、 2023 年 12 月に、ここ船場町に移転して新たなスタートを踏み出しました。
大きな窓があり明るく開放的な店内は、おだやかな光に包まれた心地良い空間。
晴れた日には窓からさわやかな風が吹き込みます。木製の扉やケヤキのカウンターテーブルは中町の店舗から受け継がれたもので、お店が積み重ねてきた歴史を伝えています。
アンプの名機・A-10Ⅱや螺鈿装飾が施されたギターがさりげなく置かれていて、ロック音楽への造詣が深い店主のこだわりも垣間見ることができます。
この日、コーヒーと一緒にいただいたのは「抹茶あんみつ」。
抹茶アイスや白玉、寒天、さらにお隣にある和菓子店「小松又三郎」の手づくり餡が添えられており、甘さだけではなく、小豆の風味と滑らかな口当たりが楽しめます。
自家焙煎コーヒーは酸味を抑えた深入りで、スイーツとの相性は抜群。
「コーヒーとあんみつがこんなに合うなんて… !」という驚きとともに、和と洋、甘さと苦さが互いにその味わいを引き立て合う至福のひとときを堪能しました。
店主のお話によると、お店を訪れる若い人たちの間で特に人気なのが「チョコレートパフェ」と「クリームソーダ」だとか。どちらも喫茶文化を肌で知る世代には懐かしく、若い世代にはそのレトロさが新鮮に感じられる王道の組み合わせですね。
クリームソーダが注がれた、弾ける水滴を思わせるグラスは店主が見つけたお気に入りの一品。食器やインテリアの一つひとつからお店の個性を感じ取るのも喫茶店に行く醍醐味だと感じました。
そして、ずっと気になっていたカクテル「雪国」を注文。底に沈んだミントチェリーと、グラスのふちにまぶされた雪を思わせる砂糖が印象的なこの一杯。一口含むと甘さとともにライムの爽やかな香りが広がり、澄んだ雪の情景をイメージさせます。すっきりとして飲みやすいので、女性からの人気も高いカクテルです。
メニューには 「ホットケーキセット」や 「サンドイッチセット」もあるので、ランチタイムに足を運ぶのも良さそうです。
そして、お隣の和菓子店「小松又三郎」で買ったお菓子は店内持ち込みOKとのことですので、お買い物やまち歩きの合間でちょっと一休みしたいときにもおすすめ。
金曜日と土曜日の夜はバーとしても営業しており、夜に訪れるとまた違った雰囲気が楽しめそうです。
【掲載商品】
・オリジナルブレンドコーヒー ¥500
・抹茶あんみつ ¥600
・チョコレートパフェ ¥750
・クリームソーダ ¥550
・雪国 ¥1,000
【店舗情報】
「喫茶ケルン」
営業時間:10:00~17:00
(金・土は19:00~22:30も営業)
定休日:不定休